「行きつけ」エクスペリエンス 〜サービスファーストで考える従業員エンゲージメント〜

梅雨が明けた途端、一気に暑さが込み上げてきましたね。みなさんも熱中症にならないように気をつけてバッチリ対策を整えてくださいね。

暑さ対策にも色々なグッズが開発されて、最近はネット上でも色々なグッズを目にします。

もはや当たり前になっていて意識すらしていないですが、ネットショッピングやSNSをしていると、レコメンデーションされた広告が画面上に表示されて、興味を惹かれた画像をクリックするとショッピング画面へと移動し、ワンクリックで注文すると近日中に自宅に届きますよね。これって改めて考えると、百貨店の外商並みのすごく便利なおもてなしサービスですよね。

一昔前ではネットでの購入は不安だった洋服も自分の体型を測定できるZOZOSUITの登場によって安心して購入できるようになりましたし、それに続いて、今度は靴の購入に役立つよう足のサイズが測定できるZOZOMATも発表され、もうすぐサービスがスタートしそうです。そのうち味覚や香りも再現できるようになってグルメ商品も安心して購入できる日が来るのではないでしょうか。

このようにデジタル上の利便性が凄まじいスピードで向上し、外に出歩かなくても色々なものが自宅にいながら手に入れることができる世の中になりましたが、それでも皆さんにはわざわざ足を運んでしまう“行きつけ”の場所は存在していたりしませんか?

行きつけの定食屋、行きつけの飲み屋、行きつけのガソリンスタンド、かかりつけの医者などなど…。

習慣になっていて意識して選んでいる感覚はないかもしれませんが、行きつけの場所がある方は想像してみてください。“なぜいつもそこにいってしまうのでしょうか?”

【行きつけになるCX】

そこには様々な理由があると思います。最初のきっかけは便利な場所にあったからなどの単純な理由だったかもしれません。

それでも何度か通い続けていく中で、そこで働いている人と面識ができ、コミュニケーションが生まれ、様々な消費活動やサービスを受けることによりスタッフとお客さんの双方に歴史や経験が積み重なり、お互いのことを深く知っていくことで気を配ることができ、居心地の良い、通いやすい場所になる、つまり“行きつけ”になっていくのではないでしょうか。

今や実店舗でも人と人との接点が失われている業務も増えつつあります。コンビニやスーパー、ユニクロなどではお客さんが自分で清算するセルフレジ、ガソリンスタンドもセルフがほとんどを占めています。セルフなど機械に置き換えられる定型サービスは機械(AI)に任せていけばいいと思いますし、おそらくそのようになっていくでしょう。そして機械(AI)がどんどん進化し普及していけば、機械には置き換えられない臨機応変な人間にしかできないサービスは洗練されていくはずです。

これからのサービス業は、AIがどんどん普及を進めていったその時こそ、人間にしかできない「素晴らしい顧客体験」を提供できると思いますし、また、それができなければ生き残っていくことはできないと思います。

【CXを向上することを前提にしたEX向上】

そして情緒的な価値を生み出す人間ならではの「素晴らしい顧客体験」を提供できるのはスタッフです。

スタッフが目的意識をもってポジティブに顧客に気を配れるようにするには余計な心配をすることなく、安心して働く環境になければなりません。

皆様の“行きつけ”のスタッフは不満げに悲壮感を持って仕事してるなんてことはないですよね?

昨今、働き方改革の影響でES、EX、など従業員のロイヤルティだけにフォーカスされることが多いですが、その前に考えなければいけないのはCS、CX。自分たちの提供する製品やサービスの中で顧客体験はどうあるべきか。顧客エンゲージメントをどのように実現するべきかの理念やヴィジョンを確立して、スタッフに浸透、相互理解をさせ、スタッフそれぞれが目標を明確にした上で従業員満足となる環境を整えるよう考えていかなければなりません。

顧客の笑顔を想像せずに、従業員の居心地ばかりを考えていたら業績向上につながってこない可能性も往々にしてあるからです。

CXを高めるのに必要な企業理念、ヴィジョンの浸透についてですが、最近では経営陣には浸透しておらず、スタッフにのみ浸透していたとみられる逆転現象のイレギュラーな事案がありましたね。それは闇営業問題に端を発した吉本興業の一件です。

本件で垣間見れたのは、サービス提供者である芸人さんにはしっかりと浸透しているにも関わらず、経営者は「国民に笑いを届ける」という理念を忘れ、保身や収益のことしか考えていませんでした。その経営者側の体質が、反社営業の謝罪会見や社長の会見をきっかけに明らかになってしまいました。これでは従業員エンゲージメントが揺らぎ、芸人さんたちが退社も辞さないということも仕方がないように思えます。

なぜなら会社を辞めて新たな組織を構築したほうが「お客さんに笑いを届けられる」環境を整える近道のように見えてしまうからです。 みなさんの会社においても、まずは自分たちのサービスを顧客にどのように提供し、どうなってもらうことが目標なのかを明確にし、それをスタッフが安心して提供できるような環境を整えてみてはいかがでしょうか。それこそが企業が取るべきEX戦略ではないでしょうか。